story


人の男が廃屋のような所にいる。彼らの手の中には四百万ドル入りの大きなバッグと爆弾の起爆装置、それに一丁の拳銃があった。そこへ一人の男が飛び込んでくる。手には一丁の拳銃。「そいつをこっちによこせ!!」男が叫び、数発の銃声が轟いた。あとに残ったのは銃声の反響三つの死体、そして一人の生き残り勝者廃屋に飛び込んできた男だった。「あばよ、この間抜け野郎が!」。男はそう言い残し、バッグ起爆装置を持って走り去った。どこか遠くで何かが爆発する音がした。


の鳴り響く雨空の下、刑務所の独房で一人の男が夢から目覚めた。彼の名は加賀年彦。三十年前、彼はGKOという過激派環境保護団体に属していたのだが、その組織が起こした事件のために彼は死刑を宣告されたのだった。彼は仲間割れを起こし、仲間全員を射殺した上に市街地で爆弾を爆発させてしまったのだ。そして、何人もの罪無き人々が死んだ。彼はそのことをずっと悔やみ、償いたいと願っていた。それを救ってくれたのは丸山神父だった。この風変わりな神父は今までずっと彼の面倒をみてきた。聖書を読み、彼のために下手な聖歌も歌った。そして、神父はこの最期の日にもいつもと変わらずやって来た。いつもの下手な聖歌を歌ってやる丸山。聞き終えた後、加賀はこんな質問をした。「こういうのは初めてじゃないって言ってましたよね、俺みたいな死刑囚を送り出すの・・・・。そいつは最期に何て?」。しばらく黙った後、丸山は答えた。「もう一度生まれ変われるなら・・・・今度は平凡な一生を送りたい、と」。コンコンッ、と独房のドアがノックされた。"その時"がやってきたのだ。一人、ドアから出て行こうとする加賀。しかし彼は不意に立ち止まり、呟いた。「もしも、もう一度生まれ変われるなら、あんなことをした若い自分にもう一度会いたいですねぇ・・・・。今のわたしなら、どんなことがあってもあんなことはさせないのに」。加賀が手を差し出し、丸山がその手をしっかりと握り締める。「さよなら、神父さん」。そう言い残し、加賀は独房から出て行った。彼の死刑が執行されたのは、間もなくだった。


は遡り三十年前、同じようなの鳴り響く雨空の下を一人の男が歩いていた。彼の名は辻本一平。彼は売れないものまね芸人で、性格のせいなのか仕事がうまくいかないせいなのか、いつも恋人のみゆきに暴力を振るっていた。その日も、彼はみゆきから搾り取った金を持って競馬場に向かっていた。そこへ凄まじい爆音と共にが落ち、彼を直撃する。感電し、痺れて倒れる一平。しかし気づいてみると、一平の人格は完全に消え失せ、彼の人格は三十年後の世で死刑になった加賀のものになっていた。己が転生したことに気づいた加賀は、この一平という男の体を借りて己の過ちを償うことを決心する。


の頃、GKOのアジトでは甲斐吉本兄弟、それに過去の加賀が、城南グループリゾート開発中止させるために爆弾脅迫していた。しかし、城南グループの青柳専務は既に始まった開発を中止にはできないので、代わりにを出すこと提案する。それを甲斐の了承なしに勝手に受け入れてしまう加賀。甲斐は加賀に拳銃を突きつけ、迫るが、加賀は「国外逃亡にはがいるだろう」と言い返す。甲斐はその言葉に一旦は納得したようであったが、「その代わり、金の受け渡しに失敗したら責任あんたにとってもらう」と、釘をさした。その言葉に腹を立てた加賀は「失敗して責任をとらないようにするには色々情報がいる」と言ってアジトを出て行ってしまう。


こへ入れ違いで一平が現れる。過去の自分を見つけ出し、事件を起こさせまいと爆弾を奪い取るためにやって来たのだ。しかし、不注意で物音をたててしまい、甲斐らに見つかってしまう。捕まり、尋問を受ける一平。しかし、その視線は吉本兄の足元にあるバッグに釘付けになっていた。「あれは爆弾の入ったバッグだ!」。そう確信した一平は、適当に尋問に答えてごまかし、不意をついて爆弾入りのバッグを持って逃げ出そうとした。しかし、そんな安易な作戦が成功するはずもなく、敢え無く捕まってしまい、バッグも取り上げられてしまう。だが、奥の手を使ってどうにかアジトを脱出することに成功。しかし、爆弾を奪い取ることはできなかった。一方、甲斐は加賀を知っている一平を見て、加賀は既に警察に顔が知られている勘違いしてしまう。


うにか逃げ切った一平はその後、みゆきに連れられて行った教会で偶然にも若き日の丸山神父再会する。一平は自分の三十年後の世で死刑になった加賀のものであることを説明し、どうにか過去の己を止めたいと訴える。それを信じ、協力することを誓う丸山。そして、二人は加賀が爆破事件を起こすはずである現場へ向かった。


かし、もう爆弾は置かれているはずなのに、どれだけ探しても見つからない。「もしかすると、お前がアジトに行ったために歴史が微妙に変わり、爆弾の場所変わってしまったのかもしれない。」ふと気づいた丸山が言った。手がかりを失い、落胆する一平。しかし、丸山は続けた。「まだ終わってない。お前の強みはこれから起こることがわかってるってことだ。」


たして、一平は愚かな過去を繰り返そうとする加賀を止めることができるのか。それとも・・・・。